2020年現在、WiMAXの最新機種はHUAWEI製の「W06」とNEC製の「WX06」の2種類あります。WiMAXを契約する方はどっちの機種がおすすめなのか知りたい方が多いはず。
今回はW06とWX06の両方を実際に使用して調査した実測やスペックなどをまとめ、どっちの機種がおすすめなのかを徹底比較してご紹介していきます。
W06・WX06の実測を検証
機種 | 通信速度(HS+Aモードあり) | 通信速度(HS+Aモードなし) |
W06 | 1.2Gbps | 558Mbps |
WX06 | 440Mbps | 440Mbps |
WiMAXの速度は機種によって異なります。スペック上ではW06の方がWX06よりも通信速度に優れていますが、実際の所はどうなのか検証していきます。
「HS+Aモード」とは、課金制のモードであり、無制限プランで契約していても月間7GBの制限が発生するため使用するタイミングはほとんどありません。そのため、重視するべきは「HS+Aモード」なしの通信速度になります。
また、WiMAXはエリアによって通信速度が変わりますので、ここで出している通信速度は参考程度に見てください。
通常モードでの通信速度比較

通信速度の検証にはSpeedtest.netを利用しました。何も設定を変更しない場合、私のエリアではWX06の方が少し速度が高い結果になりました。
複数回行なった場合でもWX06の方が速度が少し高い傾向にありましたが、平均だとほとんど変わりません。また、この程度の通信速度差の場合、体感だと速度の変化は全く感じませんでした。
WiMAXは最大通信速度が400Mbps以上ありますが、実際には20〜50Mbpsほどです。10Mbpsあれば動画はさくさく見れると言われていますが、事実、動画は止まることなくさくさく閲覧可能でした。
ハイパフォーマンスモードでの通信速度
◆W06の場合

「W06」は通常モードのスマートからハイパフォーマンスに切り替えると通信速度が上がります。その代わり、バッテリーの持ち時間は減少します。

「ハイパフォーマンスモード」に切り替えると、通常モードよりも2倍近く通信速度が上がりました。複数回試してみても、30〜39Mbpsは出ていました。
ただし、アップロードの速度は変わりません。アップロードの速度を気にされる方は少数派だと思いますが・・・。

「4x4MIMO」とは、複数のデータを同時に送受信することで通信速度を高速化させる技術のことです。
W06は「ハイパフォーマンスモード」に加え、「4x4MIMO」をオンにすることでさらなる通信速度向上を見込めるとされています。しかし、バッテリーの消費もさらに激しくなります。

上の画像が「ハイパフォーマンスモード」と「4x4MIMO」をオンにした状態での通信速度です。確かに速度は上がっており、通常モードの2倍以上の数値になっています。
画像は載せていませんが、「4x4MIMO」のみをオンにした時の速度は、ハイパフォーマンスモードのみをオンにした時の速度とほとんど同じ速度という結果になりました。
◆WX06の場合

WX06では「通信速度を優先」をオンにすると通信速度が上がります。この機能がW06の「ハイパフォーマンスモード」と同等の機能になっています。

「通信速度を優先」をオンにすると、W06ほどではありませんが通信速度が上がりました。

WX06は2.4GHzと5GHzの周波数帯を同時に使用することができます。下記では「通信速度を優先」に加え、2つの周波数帯を併用することで通信速度が上がるかどうか検証していきます。
・2.4GHz ➡︎ 電波干渉を受けやすいが遠くまで電波が届く
・5GHz ➡︎ 電波が遠くまで届きにくいが電波干渉を受けにくい

2つの周波数帯を併用した結果、私の環境では通信速度は逆に下がってしまいました。周波数の設定を変更することによる速度の変化は環境に左右されやすいので、人によっては通信速度が上がる場合もあるかもしれません。
しかし、周波数の設定を変更しても通信速度に影響は出ないことがほとんどでしょう。WiMAXの電波が安定しない時などに周波数を併用するのがベストだと思います。
HS+Aモードでの通信速度比較

上記画像の速度はHS+Aモードに切り替えた場合の通信速度です。それぞれ通信速度を優先に設定しています。
どちらとも100Mbps近くの通信速度になっており、モバイルルーターとしてはかなり早い部類になります。しかし、前述しましたがHS+Aモードは速度制限のリスクがあるので使用は控えた方が良いです。
WiMAX回線が繋がりにくい場所に移動した際の緊急手段として利用するのが本来の使用方法です。
Ping値の比較
通信速度(bps)よりも重要視されることがある指標がPing値です。ラグのないインターネット環境を整えたい人は要チェックです。
Ping値とは
・bps(通信速度)=1秒あたりに転送可能なデータ容量を表す数値
・Ping(応答速度)=データ通信のタイムラグを表す数値
bpsは通信速度を表す値で、値が大きければ大きいほど速度も高くなるため、10Mbpsよりも100Mbpsの方が速度が高いです。
Pingは少しややこしいのですが、簡単に言ってしまうとデータ通信のタイムラグを表す値です。bpsとは逆で、Ping値は数値が少なければ少ないほど通信のラグも少なくなります。
Ping値は40〜60msであれば快適にインターネットを閲覧したり、動画を視聴したりできると言われています。60〜100msだとラグが多いと感じるはずです。
オンラインゲームや通話をする人はPing値を重視しよう
Ping値は「電波の安定度」と言い換えても良いでしょう。電波が不安定だとオンラインゲームの動作にラグが発生したり、通話が途切れたりしてしまいます。
WiMAXでオンラインゲームやオンライン通話がしたい人はPing値ができるだけ少ない機種を選ぶのがおすすめです。
Ping値の比較
ハイパフォーマンスモードに設定した際の通信速度はW06に軍配が上がりましたが、Ping値はどうでしょうか。ここではW06とWX06のPing値を比較検証していきます。
◆W06の場合

Ping値に関しては周波数帯を変えて検証してみました。複数回試した所、2.4GHz帯が50〜65ms、5GHz帯が45〜60msという結果になりました。
「ハイパフォーマンスモードと4x4MIMOをオンにするとPing値も少なくなるか」については、通信速度の見出しに載せている画像で結果が出ていますが、少なくはなりません。

上記画像はW06でハイパフォーマンスモードと4x4MIMOをオンにした時のPing値です。通信速度は高くなっていますが、Ping値は少なくなっていません。
◆WX06の場合

下は2.4GHz帯と5GHz帯の周波数を同時使用した場合のPing値です。通信速度は変わりませんが、Ping値は若干少なくなっています。
複数回試した所、2.4GHzは40〜50ms、同時使用だと35〜45msになりました。Ping値は基本的にWX06の方が少ない傾向にあるようです。
実際に使用してみた感想とおすすめ
WiMAXの最新機種であるW06とWX06の両方を使用した感想と、「どっちがおすすめの機種なのか」についてご紹介していきます。
体感だと通信速度はほとんど変わらない
光回線の場合は200Mbpsほど出るため、体感でもWiMAXとの速度の違いはすぐに分かります。しかし、通信速度が20〜40Mbpsぐらいの幅の場合、体感だと違いはほとんどありません。
また、私がWiMAXを使用したエリアだと、両方の機種で高画質の動画を問題なく視聴することができました。
通信速度に関しては機種ではなくエリアに大きく左右されるので、あまり気にしなくても良いかもしれません。
電波の安定性の違いは?
Ping値が少ないほど電波の安定性が良いと前述しましたが、これに関しても体感だと違いがわかりませんでした。
W06とWX06でオンライン通話を試してみましたが、どちらも途切れることなく通話可能でした。オンライン通話やゲームなどを日常的に行い、回数をこなしていくと違いが出てくるのかもしれません。
W06とWX06どっちがおすすめ?
数値だけを見ると通信速度はW06、電波の安定性はWX06が優れています。
WiMAXでWebページの閲覧や動画視聴をするだけであれば通信速度が少しでも高いW06がおすすめ、オンライン通話などをするのであれば電波の安定性に優れているWX06がおすすめです。
ただし、体感だと通信速度や電波の安定性の違いはわかりにくいため、個人的にはバッテリーが長持ちするWX06がおすすめです。
⬇︎WiMAX契約を検討するなら⬇︎
下記では通信速度・電波の安定性以外のスペック比較をご紹介していきますのでぜひ参考にしてください。
W06とWX06のその他スペック比較
W06とWX06を比較して、重要かつ違いが出たスペックを表にまとめました。通信速度に関しては上記で実測をご紹介したので省いています。
機種 | W06 | WX06 |
発売日 | 2019/1/25 | 2020/1/30 |
通信時間 | ・ハイパフォーマンスモード時 7時間10分 ・エコモード時 11時間40分間 ・HS+Aモード時 10時間 |
・ハイパフォーマンスモード時 11時間30分 ・エコモード時 14時間 ・HS+Aモード時 10時間30分 |
クレードル | なし | あり |
カラー | ライムグリーン、クラウドホワイト | ブラック×ブルー、ホワイト×シルバー |
サイズ | W64×H128×D11.9mm | W111×H62×D13.3mm |
重さ | 125g | 127g |
製造メーカー | HUAEI(中国) | NEC(日本) |
バッテリーの持ち時間に優れているのはWX06
通常モード時でもWX06の方がバッテリー持ちは良いです。ハイパフォーマンスモードや4x4MIMOをオンにしない時の通信速度(実測)はW06もWX06も変わらないので、通信速度を優先しない場合はWX06がおすすめです。

上記画像はWX06のエコモード時の通信速度とPing値です。通信速度はそれほど低くなく、Ping値は少ないですね。
重さもW06と比べて2gしか変わらないので持ち歩きにも不便ではありません。
WX06はクレードルを使用可能
クレードルとは、WiMAXを置くだけで充電したり、LANポートがついているので有線LAN接続することができます。モバイルタイプでもホームルータータイプと同じような使い方でできるようになります。
今回はクレードルを使用した検証はしていませんが、クレードルで有線LAN接続をすれば通信速度や電波の安定性が上がると言われています。
WiMAX以外の回線でも、基本的に無線LAN接続よりも有線LAN接続の方が通信速度や電波の安定性に優れています。おそらくWiMAXでも同じでしょう。
クレードルはWiMAX本体とは別売りで購入することができます。クレードルを使用したい方はWX06を選びましょう。
機種によって接続が途切れやすい?
WiMAXは機種によって接続が途切れやすいと言われることがありますが、W06とWX06を実際に使用してみた所、基本的にはどちらも接続は途切れることなく使用できました。
しかし、どちらも周波数やモードを切り替えると接続が途切れることがありました。こればかりは仕方ないことだと思います。
同じ周波数・モードで使用すれば接続が勝手に途切れることはほとんどないので、それほど大きなデメリットというわけではなさそうです。
メーカーの違いについて
WX06のメーカーはNECとなっており、日本のメーカーです。それに対し、W06のメーカーは最近話題のHUAEIとなっており、中国メーカーですね。
これに関しては色々言われてはいますが、個人的にあまり気にする必要はないかと思います。私はWiMAXの元販売スタッフですが、HUAEIの機種だけ不具合・クレームが多かったということもありません。
WiMAXの機種に関しては性能を比較して選ぶのが良いです。
シリーズの人気傾向
WiMAXのモバイルルーターにはHUAEI製のWシリーズとNECのWXシリーズがあります。私がWiMAXを販売していた時の知識ですが、初期はWXシリーズがかなり人気でした。
WXシリーズよりも最大速度が高いW05が販売されるようになってからはWシリーズの方が人気になり始めました。
ただし、ユーザーが機種による速度の違いは微々たるものと気づき始めてからはWXシリーズも徐々に販売台数が上がってきていると思います。
それでも最大速度の高いW06が一番人気であることに変わりはないです。しかし、最大速度はあくまで理論値なので、個人的には他のスペックも確認して自分にあった機種を決めるのがベストだと思います。
まとめ
ここまでW06とWX06のスペック比較についてご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。内容をまとめると以下になります。
・通信速度はW06の方が優れている
・電波の安定性はWX06の方が優れている
・体感だと違いはあまり分からない
・その他スペックを比較すると、個人的にはWX06の方がおすすめ
WiMAXの通信速度や電波の安定性はエリアによって異なるため、ここで載せている数値が必ず出るわけではありませんのでご注意ください。
私がWiMAXを使用したエリアはそれほど都心部ではありませんが、予想より快適に使用できました。数年前にWiMAXを同じエリアで使用したことがありましたが、やはり以前よりもサービスの質自体は上がっているのではないかと思います。